コラム

一部古いデータのままのものがあります。

吹替は是か非か
このサイトができるまで
吹替用語解説
日本語吹替用字幕
テレビ放送は吹替で
絶滅危惧吹替
水曜ロードショー
江原正士の「二か国語」
テレビ局毎のフィックス
放送禁止用語を考える
山田康雄を継ぐ者
二か国語とステレオ
洋画劇場と解説者

吹替は是か非か

字幕派VS吹替派論争がよくある。

字幕派の意見として、 「俳優本人の声や演技ではない」とか
「吹替では洋画の雰囲気がぶち壊しだ」とか
「外国人俳優が日本語を喋る事自体が許せない」とまで言う人もいる。

だがそんなものは見る側の姿勢の問題で、
逆に私にとっては、
山田康雄の声でなければクリント・イーストウッドではないし、
本人の声より石丸博也の声の方がジャッキー・チェンなのだ。

確かに吹替にも問題点がある。最大の問題点は、
声優によって大当たり、大ハズレの落差が激しすぎるということ。
ダメ吹替だと映画自体がつまらなくなってしまう。
字幕では、日本語の訳し方が良いか悪いか程度で大ハズシは少ない。
その点では字幕の方が有利ではある。

しかし出来の良い吹替が一旦ツボにハマると、
まるで俳優本人が喋っているように聞こえるし、
その俳優の顔を見れば吹替の声優の声が思い浮かぶようになる。
ピタりとハマった吹替で見ると、面白い映画はより一層面白くなるし
大して面白くない映画でも、声を聞いてるだけで楽しくなる。

そもそも字幕VS吹替論争なんて意味のないことで、
映画を見るのに字幕と吹替ではどっちが有利かとか
どっちがオリジナルに近いか、なんてのはどうでもいいことです。
私は別に吹替の方が有利だからということで吹替で見てるわけではなく
吹替で見ると楽しいのです。
映画を見る人が楽しく見れること、それが一番です。

DVDなどの普及のお陰で、
一つの映画の楽しみ方として吹替が見直されつつあるが、
依然として「洋画は字幕で」という人が多いようです。
しかし、漢字もろくに読めなかった子供の頃から
映画の楽しさを教えてくれたのは、紛れも無く
テレビの吹替放送でありその声優達です。

このサイトができるまで

これは、私がいかにしてここを作るに至ったのかを
詳細に記したドキュメントである。


私も子供の頃からテレビの吹替映画が好きで、よく見ていたが
声優が誰だとかそれほど意識して見ていたわけではなかった。

そんな事気にしなくても、
クリント・イーストウッドはいつも山田康雄の声で喋っていたし
ジャッキー・チェン石丸博也の声だった。
それが当たり前だと思っていた。

吹替の声優に強く関心を持つようになったのは、実は最近のこと。

96年2月10日、テレビでケビン・コスナー「ロビン・フッド」
という映画を何気なく見ていたら、ショーン・コネリーが出て来て、
コネリーの出番はほんの少ししかないのに、声は若山弦蔵だった。
あーやっぱりコネリー若山弦蔵なんだなあと思った。
他の全ての映画でもそうなんだろか。
今思えば、それがきっかけだった。

そして96年12月1日、映画の日ファン感謝デー。
料金が割引になるので、劇場映画を見に行くことになった。
安いから何か見ようというだけで、別に映画は何でも良かったのだ。

イーストウッド「アルカトラズからの脱出」が好きだったので
同じくアルカトラズが舞台の「ザ・ロック」を見ることにした。
ここ数年劇場で見た映画はハズレばかりだったので期待しないで見たら
これがなかなか近年見た中でも最高の映画であった。

吹替好きの私は、これはぜひ吹替で見たいと思った。
97年4月。ビデオの発売と同時にビデオ屋へ走る。
もちろんコネリーの声は若山弦蔵だろうと踏んでいたのだが、
パッケージには吹替キャストが書いていなかったのだ。

その時既に吹替について調べ始めていたので、他のコネリーのビデオで
若山弦蔵でないものがいくつかある事は知っていた。
もしやと一抹の不安を覚えながらビデオを再生する。

コネリー登場シーンまで早送りしたいところだが、そこはじっと我慢。
やがてコネリーが画面に登場するも、なかなか喋らない。
第一声を固唾をのんで見守っていると、
『何の用なんだ・・・。』
その声はなんと、一言聞けば一発でわかるあの若山弦蔵だったのだ。

コネリーが、ちゃんと期待したとおりの声で喋っている!
こんな楽しいことはない。これこそ吹替の醍醐味だ。
今まで当たり前だと思っていた事が、すごく楽しい事なのだと気づいたのだ。

その時私はひらめいた。
吹替フィックス声優について調べているような
そういうホームページとかってないのかな。

早速インターネットで調べてみた。
声優で検索すると、アニメ系声優のサイトは星の数ほどあったが
吹替についてまともに取り上げているサイトは、
私が調べた限りでは当時ほぼ皆無であった。
やはり吹替に興味のある人なんていないのだろうか。

誰も作らんのなら自分で作るか。
といっても吹替について大した知識もなし資料もなし、
さらにHP運営となると、私には文才もなしデザインのセンスもなし。

まあHPが作れるかどうかはおいといて、とにかくネタ探しをする。
昔録画したビデオを掘り返す。
この役者はあの声優・・・、コネリーはもちろん若山弦蔵
イーストウッドジャッキー・チェンは問題ないとして
ハリソン・フォード磯部 勉村井国夫か・・・
と構想を練っていった。

ちなみに我家のビデオは昔、VHSではなくβだった。
一部は別のメディアにコンバートしたが、
転居などもありβのテープは既にほとんど廃棄してしまっていた。
今考えれば実にもったいないことをした。

データ収集やHPの構想を続けながら、暇さえあれば
ほんとに他に吹替サイトはないのか何度も探した。
誰も作る人がいない。やはり自分で作るしかない。
そんなことでかれこれ1年以上経過していた。

とりあえず今あるデータだけでHTMLに起こしてみる事にした。
私はHP作成ツールの類を持ってないので
単なるテキストエディタで、HTMLのタグまで
ちまちまと手で打っていった(実は今でもそう)。

一応原形は完成した。
まだとても公開できる代物ではなかったが、
もっと増やしていけばなんとかいけそうな感じがした。

ちなみにタイトルは最初から「声の出演」であった。
そういえば適当に仮でつけといた名前が、
変えるのを忘れていまだにそのまんまだった。
「声の出演」では何のことだかわからんね。
吹替なんとかという名前にすればよかった。もう遅い。

それから約3ヶ月、試行錯誤を繰り返し、
薄い内容ながらどうにか形にはなってきた。
そろそろ公開しても平気かな。

しかし、テーマが吹替とマイナーな上に、
こんなしょぼいサイトを見る人がいるのだろうか。
まあもし他にもっと出来のいい吹替研究サイトを見つけたら
その時は手を引くつもりで、公開してみることにした。
それが98年9月26日のこと。

そして今に至る。

もし「ザ・ロック」コネリー若山弦蔵でなかったら、
なーんだコネリー弦蔵じゃないのか、で終わってしまい
私の吹替への興味も薄れていってしまったに違いない。

おしまい。

あれ、オチがない。

吹替用語解説

もし間違いがあったらすいません。指摘してください。

アテレコ[当てレコーディング]
吹替とほぼ同義。
声のアフレコのことを、声を「当てる」ということから「アテレコ」と言う。

アドリブ[ad lib]
台本にはない即興の台詞。
究極の例が、広川太一郎の「Mr.Boo!」。
役者の口が動いてない時までしゃべっていた。

アフレコ[アフターレコーディング(after recording)]
映像に後から音声を録音すること。
洋画に限らず邦画でも、無音で撮影して音声をアフレコすることもある。

オンリー[ONLY]
収録終了後、個人の台詞を単独で録音し直すこと。

顔出し[かおだし]
声優の場合は、声優自身がテレビ等に出演する仕事のこと。

カメオ出演[CAMEO]
主に大物役者が、ノンクレジットで隠れキャラ的にちょっとだけ出演する事。

ガヤ[がや]
大勢の人間が騒いでいるシーンのこと。
人の声だけがガヤガヤと聞こえるところからガヤと呼ばれる。

ゴールデンタイム[Golden Time]
テレビ放送の19〜22時の時間帯のこと。
テレビを見る人が最も多い時間帯とされている。
→プライムタイム

字幕[じまく]
台詞や説明文などを画面に文字で表示するもの。
スーパー、テロップ、字幕スーパーとも言う。
ここでは主に外国語の台詞の日本語訳の字幕のこと。
また、吹替に対して原語音声で見ることを便宜上「字幕」ということもある。

新録[しんろく]
別の声優で新たに吹替を録り直すこと。
再録ともいう。

素読み[すよみ]
感情を入れないで台詞を読むこと。

声優[せいゆう]
洋画の吹替、アニメ、ナレーションなど、放送で声だけの出演をする人。

二か国語[にかこくご]
原語と吹替の音声多重のこと。
テレビの吹替映画では、
主音声日本語、副音声原語の音声多重で放送されることが多い。
バイリンガルとも言う。

フィックス[fix]
俳優ごとに専門の声優を決め、どの作品でもその声優が吹替をすること。

吹替[ふきかえ]
外国の映画の台詞に合わせて、日本語で台詞を録音すること。

プライムタイム[Prime Time]
テレビ放送の19〜23時の時間帯のこと。
→ゴールデンタイム

別録り[べつどり]
1人2役の時などに、メインシーン以外のものを別に録音すること。

ボイスオーバー[voice over]
原語の台詞の音量を下げて、日本語をかぶせる吹替手法。
外国人のインタビューや、深夜の通販テレビ番組でよく使われる。
映画でこの手法が使われることは現在はまずないが、
MEテープなどがなかった時代にこの手法がとられたことがあるらしい。

邦画[ほうが]
日本製の映画のこと。
ここでは広義として、国産テレビドラマ等も含む。

ミスキャスト[miscast]
失敗した配役。
ここでは、役者と吹替の声が合ってないこと。

洋画[ようが]
欧米から輸入された映画のこと。
ここでは広義として、外国映画および外国テレビドラマ全般のこと。

DVD[Digital Versatile Disc / Digital Video Disc]
ビデオテープにかわる次世代デジタル映像記録媒体。
映像や音声をデジタルで記録し、摩耗しないので
データが劣化せず半永久的に保存する事ができる。
複数の音声や字幕を収録でき、音声日本語+日本語字幕という見方も可能。
再生のみで録画はできないが、録画できるタイプもある。
正確には Digital Video Disc は誤りで、Digital Versatile Disc が正しい。

MEテープ[Music+Effectテープ]
台詞を除いた、効果音と音楽だけが入った音声テープのこと。
これに日本語の台詞を合わせたものが日本語吹替版となる。

日本語吹替用字幕

最近DVDで、「吹替用字幕」という機能があるものがある。
これは日本語音声で見る時に、
手紙や看板などの文字だけを字幕で表示するというもので
普段日本語音声で見る私などには大変便利な機能です。

しかし、それを字幕表示にしないで、
役者が読んでいるかのように吹替のセリフにしてしまう
という手法もある。

例えばコンピュータ画面の文字やメモなどは、字幕にするより
吹替のセリフにして声優に読ませてしまった方がスマートで、
全てをそうするのは無理だけど、使い方次第では
吹替ならではの利点を生かした、大変効果的な演出になる。

昔の吹替映画では、この手法は結構あったような気がするけど
最近はあまり見かけないみたい。

テレビ放送は吹替で

以前「ロミオ&ジュリエット」がテレビで、
主音声が原語で字幕スーパーつき、吹替は副音声で放送された。

相変わらず字幕で放送しろという声が跡を絶たないようで
これは試験的導入だったようだ。
よりによってこの映画でそれをやったのって
ディカプリオの生の声が聞きたいからとかそういう理由なのかね。
まあとんでもない話だ。

しかしこの吹替は、ビデオ版を使いまわしたのならまだしも
このテレビ放送用に収録したわけで、それを副音声に追いやるとは
声優達に失礼じゃないのかな。

それにプライムタイムの映画は、昔からずっと吹替だった。
今は字幕派の人も、子供の頃はこれで映画を楽しんでいたと思う。
それを字幕で放送しろというのは横暴ではなかろうか。

字幕で見たければ劇場でもビデオでもいくらでも見る手段はある。
しかし吹替はテレビでしか見れない吹替もあるわけで
やはりこういう事はやめてもらいたい。

とはいえ、吹替ファンからも顰蹙をかうようなダメ吹替もたまにあり
そんな事だから吹替はダメだと言われてしまうのだ。
洋画劇場関係者の皆様にはぜひ
字幕派の人にも「これならまあいいか」と思わせるほどの
出来のいい吹替の製作をお願いします。

絶滅危惧種を救え

一時期フィックスになりつつあったのに、最近になって
過去の実績を無視して新たな人が声を当てるようになり
めっきり見なくなってしまった吹替を絶滅危惧吹替と呼びます。
どこか、気のきいた製作会社が復活させてくれないかな。

アンソニー・ダニエルズ(C−3PO):野沢那智
言わずと知れた「スター・ウォーズ」のC−3POである。
渡辺 徹版でさえ野沢那智だったし、日本での支持率も高いのだが
エピソード1の吹替を作る時に、当然野沢那智が第一候補だったものの
なんと「声質が違う」とルーカスフィルム側から却下されたらしい。
恐らく今では各国吹替版はルーカスフィルムの管理下にあると思われ、
勝手に野沢那智を起用するわけにもいかんのだろう。

ピアース・ブロスナン:神谷 明
「探偵レミントン・スティール」に始まり
「ダンテズ・ピーク」「007」と神谷 明でフィックスと思ったのに
「ワールド・イズ・ノット・イナフ」でビデオの発売元が変わり
声優を変えるという暴挙に出たのが致命的だった。
今後ビデオでもテレビでも神谷 明が当てる見込みは薄く、
絶滅がほぼ確定的となってしまった。

ブルース・ウィリス:樋浦 勉
一時絶滅しかけたが、最近ビデオでやや復活傾向。
せめてビデオでは樋浦 勉にしてくんないかな。
ビデオで樋浦、テレビで那智と棲み分けをしてもらってもいい。

マイケル・ビーン:田中秀幸
「ターミネーター」「エイリアン2」などで好演。
吹替の名作「ターミネーター2 特別編」テレビ版や
「ザ・ロック」ビデオ版などでも田中秀幸じゃないのが残念。
かつて田中秀幸が当ててたことなんて、もう誰も覚えてないと思うので
2度と当てることはあるまい。合掌。

レオナルド・ディカプリオ:草尾 毅
ディカプがあまり有名でなかった頃は多かったのだが。
「タイタニック」のビデオ版が草尾 毅なら完璧だったのに。
ディカプリオももう「少年声」を脱却する年齢なのか。
金ローでは石田 彰が新フィックスらしいが
「少年声」を卒業するために草尾を起用しないと言うのなら
別に反対はしないが、石田 彰では結局少年声なわけで
なら草尾 毅の方がいいと思うが。

「水曜ロードショー」復活希望

TBSのレギュラー映画番組だった「水曜ロードショー」は終了したが、
「特別ロードショー」などと称して不定期で映画を放送している。
これが、ビデオ版の吹替を流用することが多い。

既に出来の良い吹替が存在するなら、
フィックスを外したり全体の質を落としてまで
わざわざ新録するのはナンセンスだ。
とはいえWOWOWの「ふきかえシネマ」のように、
出来の悪い吹替版までそのまま放送するのも問題がある。

2001/8/1放送の「マウス・ハント」で、クリストファー・ウォーケンを
野沢那智で再録して放送したのは大正解であろう。
単にビデオ版吹替の使用権が得られなかっただけかも知れないけど
もし「出来の良い吹替は使用し、悪い吹替は再録する」
というコンセプトなのだとしたら、
これはまさに映画放送の理想形ではなかろうか。

ビデオやDVDの普及の関係で
映画番組の存在意義は薄れているように思えるが、
やはり、わざわざレンタルや購入しなければ見られないビデオと、
全国放送で誰もが見られるテレビ放送とでは意味が違う。

例えば、面白い映画(吹替)をみんなに見てもらいたいと思っても
レンタル(ましてや吹替版)では見る人が限られてしまう。
「ザ・ロック」のビデオ版吹替などは地上波で放送すべきだ。

カットやCM挿入などの問題はあるが、まあそれはおいといて
ぜひ上記コンセプトで「水曜ロードショー」の復活を希望します。

江原正士の「二か国語」

「二か国語」とは、江原正士の司会で
深夜にフジテレビで放送していた番組で、
映画のセリフの中の英語のジョークとかスラングとかを
うまく日本語にアレンジして表現してみようという番組である。

ただ、ここでとりあげた日本語訳が
実際に映画の放送の吹替で使われることはほとんどないようだ。
事実、すぐにすたれるであろう最新の流行語を使ったりして、
英語の本当の意味を理解するのにはいいが、
映画のセリフとして使うのはどうかと思う表現が多い。
江原正士本人も「ちょっとやりすぎかも知れませんが」と
注釈をつけることもある。
どちらかというと吹替番組ではなくて、英語の勉強番組なのかな。

もっとも私も、放送時間が28時とかやたらと遅いうえ
正確な放送時刻も不定なので、いつも見るのを忘れて
実は数回しか見たことがないけど。

8年続いたこの番組も、2002年3月で終了してしまった。
結局10回くらいしか見れなかった。
もう少し早い時間にやってくれれば良かったのに。

テレビ局毎のフィックス

フィックス声優は放送局ごとに特徴があり
これまででわかっているものをまとめてみる。

・日本テレビ「金曜ロードショー」
アーノルド・シュワルツェネッガー:玄田哲章
エディー・マーフィー:山寺宏一
ショーン・コネリー:若山弦蔵
トム・ハンクス:山寺宏一
ハリソン・フォード:村井国夫

・TBS「月曜ロードショー」など
ショーン・コネリー:若山弦蔵
シルベスター・スタローン:羽佐間道夫
ティモシー・ダルトン:小川真司
メル・ギブソン:鈴置洋孝

・フジテレビ「ゴールデン洋画劇場」など
アーノルド・シュワルツェネッガー:玄田哲章
エディー・マーフィー:下条アトム
ショーン・コネリー:若山弦蔵
シルベスター・スタローン:銀河万丈→玄田哲章
トム・ハンクス:江原正士
ハリソン・フォード:羽佐間道夫
ブルース・ウィリス:村野武範
マイケル・J・フォックス:宮川一朗太
ロビン・ウィリアムス:江原正士

・テレビ朝日「日曜洋画劇場」
アーノルド・シュワルツェネッガー:玄田哲章
エディー・マーフィー:山寺宏一
ショーン・コネリー:坂口芳貞
シルベスター・スタローン:佐々木 功
トム・ハンクス:山寺宏一
ハリソン・フォード:磯部 勉
ピアース・ブロスナン:田中秀幸
ブルース・ウィリス:野沢那智
メル・ギブソン:磯部 勉

・テレビ東京「木曜洋画劇場」
ウェズリー・スナイプス:大塚明夫
ケビン・コスナー:津嘉山正種
ジャン=クロード・バン・ダム:山寺宏一
ジャン・レノ:菅生隆之
ショーン・コネリー:若山弦蔵
モーガン・フリーマン:坂口芳貞

DVDのメーカーごともまとめたら面白そうだが
私はビデオ会社には疎いので誰か調べて下さい。

放送禁止用語

放送禁止用語について考える。

昔と現在とでは放送禁止用語の基準が違うため、
昔の吹替映画には現在では使えない単語が使われていることがある。

先日のアニメ「ルパン三世 ルパンVS複製人間」の放送では、
『ここは精神病院でもなければ仮装パーテーでもない』というセリフを
『ここは仮装パーテーではない』と、声をつぎはぎして無理矢理編集していた。

しかしそのような手を加えるという事は、
こういう問題を考える上で適切な処置と言えるだろうか。
昔の作品なのだから、そこまで過敏に反応するのはいかがなものか。

もちろん差別などは無くしていかなければならないが
当時、製作者側には差別などをする意識はなかったと思われる。
当時と現在の差別に対する認識の違いを理解し、考えるためにも
よほど露骨な差別表現でもない限り、基本的には
変更を加えずにそのまま使うべきだと思う。

しかしまあテレビで全国放送するとなるとなかなかそうもいかないか。
せめて深夜枠で放送できないものか。

山田康雄を継ぐ者

山田康雄。本名同じ。1932年9月10日生まれ。
主な出演作:アニメ「ルパン三世」、
クリント・イーストウッド、ジャン=ポール・ベルモンドの吹替。
1995年3月19日、脳出血で死去。享年62歳。

山田康雄死後のクリント・イーストウッドの吹替は、
ルパン三世などでも共演し、生前付き合いが深かったと思われる
小林清志や納谷悟朗が声を当てている作品がある。
だがこの2人がイーストウッドに合っているとは到底思えない。
これは故・山田康雄に敬意を表してのキャスティングであろう。

他に黒沢年男、夏八木 勲などが当てたものもあるが、
これはあえて本職の声優でない方が良い、と考えたのかも知れない。
それはそれで選択肢の一つか。

テレビ放送では野沢那智が、山田康雄を意識しているようで、
かなり健闘していると思う。
だがしかし、正直言うと野沢那智でもかなり苦しい。
やはり山田康雄でなければイーストウッドではない。
山田康雄と共にイーストウッドも死んだのだ。

ルパン三世を継いだ栗田貫一は、
最近では山田康雄のモノマネというよりも、
既に栗田ルパンのキャラを確立しつつあるようだ。
今では無理に山田康雄に似せようとはしていない、と
本人が以前何かのインタビューで言っていたような気がする。
だが私としては、もともとモノマネ代役として選ばれてたわけで
「栗田ルパン」の確立よりは、徹底的に山田康雄のモノマネを貫き
極限まで山田康雄に似せる事を追求していって欲しいと思うのだが。

二か国語とステレオ

読売新聞97/11/9の投書
「日曜洋画劇場で二か国語放送しなくなったのが残念。
吹替では作品のニュアンスが全く伝わらず興ざめ。」
20才学生

この頃は二か国語でなく吹替ステレオで放送する事が多かったようだ。

それに対する局の返答が
「放送枠に合わせて本編をカットしており
日本語版では違和感がないよう工夫できるが
英語版は調整が困難なため、やむを得ぬ措置としてご了解ください。」


なるほど、二か国語でカットする場合は副音声の英語音声も
意味が通じるようにうまく編集しなければならないわけだ。

またさらに97/11/18に反論の投書があり
「局の説明に納得がいきません。本編カットは承知の上で、
私は二か国語放送の自然な迫力と臨場感を選びます。
英語版の調整までは期待していないのです。
以前の形態(二か国語放送)が復活することを熱望します。」
26才公務員

「二か国語放送の自然な迫力と臨場感」というのが意味不明だ。
副音声の英語の方が迫力と臨場感があるということか?
「英語版の調整は期待していない」というのも意味不明。
カットによりセリフのつじつまが合ってなくても構わないということか?

他にも
「作品のニュアンスが全く伝わらないというのは声優陣に失礼」
「ステレオ吹替の長所、臨場感にも注目を」などもあった。

声優陣に失礼とは全くその通り。
迫力や臨場感という点ではステレオの方が優れていると思うが。
モノラル英語の方が迫力や臨場感があるというのは実に不可解。理解できん。

テレビ放送用の吹替は大抵モノラルで収録されているだろうけど
ステレオで収録したものや、ビデオ版を放送する場合は
私としては二か国語より吹替ステレオの方がいいね。

洋画劇場と解説者

これは私の独自の調査と推測によるもので間違いがある可能性もあります。

テレビ朝日(当時・NETテレビ)
「土曜洋画劇場」(現「日曜洋画劇場」)は1966/10/1スタートで
半年後に日曜へ移動。初の2時間枠レギュラー映画番組であり、
現在まで37年以上も続く最長寿映画番組でもある。
解説は第1回から淀川長治で、以後98/11/11に他界するまで続いた。
11/15は、死の前日に収録したとされる最後の解説
「ラストマン・スタンディング」を追悼特番と共に放送。
その後は代役の解説者はおかず、
しばらくして大塚明夫がナレーションを務めるようになるが
これは次回予告などのナレーションなので、厳密には解説とは違うか。

テレビ東京(当時・東京12チャンネル)
1968/2/8スタートと意外に歴史の古い「木曜洋画劇場」。
曜日も番組名も変わっていないのはこの「木曜洋画劇場」だけだ。
さすがはマイペースなテレビ東京。
各局の洋画劇場が週末へシフトしていく中で、
木曜日と言う微妙な曜日だったのも長寿の一因か。
厳密に言うと、1968/2/1までは90分枠の「名画劇場」だったのが
2/8に突然「木曜洋画劇場」となり「名画劇場」は月曜へ移動する。
その後1969/10に2時間枠新番組として新たに再スタートしているのだが
木曜洋画は自ら「SINCE1968」と謳っているので、
90分枠時代も「木曜洋画劇場」に含まれるのであろう。
解説者は数年毎に交代している。
87年からは木村奈保子で固定され、最も長い解説となっていたが
2003/3/27をもって降板となり、以後解説者はいない。
時代の流れとはいえ、他局の解説者がいなくなっても
マイペーステレビ東京には解説を継続して欲しかった。

TBSテレビ
「月曜ロードショー」は1969/10/6スタートだが
その前に「金曜ロードショー」もあり、曜日の移動という扱いになるのかな。
解説は荻 昌弘だが、放送開始時から解説をしていたかは未確認。
87年にTBSが22時から帯(月〜金)のニュース番組をやるため
ロードショーは火曜20時に追いやられてしまう。
荻 昌弘は88/7/2に他界。解説は88/5/31までしか確認できなかった。
体調を崩して解説を休養していたのかも知れない。詳細は不明。
以後TBSの映画は頻繁な番組名変更など迷走することになる。
20時からという時間も半端だったのかも知れない。
一時、小堺一機が解説をしていた事もあるが長くは続かず
他に解説者がいたかどうかは確認できない。
89年に帯のニュースが23時からになり、晴れて水曜の21時に移動。
解説は「シネマ・アイ」と名乗る宮島秀司だが、1993/9/29で終了。
TBSのレギュラー映画番組はゴールデンタイムから姿を消す。
最終回に「007/リビングデイライツ」(地上波初か?)を放送したのは
007シリーズを多く放送してきたTBSの意地なのかも知れない。

フジテレビ
「ゴールデン洋画劇場」1971/4/2の放送開始時は金曜日だったが
81/4から土曜日に移動。そのまま現在まで固定となる。
解説は最初は前田武彦のようだが、2年ほどで高島忠夫へ交代。
その後25年解説を続けるが、98/7に体調不良により休養。
代役の解説者はおかず、後に「猿の惑星」で竹中直人などが
単発の解説をしたこともあるが、レギュラーの解説者はいない。
30年続いたこの長寿番組は2001/9/29に突然終了。
「ゴールデンシアター」「プレミアムステージ」と名前を変え、
映画だけでなくドラマやバラエティー、ドキュメンタリーもやる
と言う事になっているが、結局映画を放送することが多い。
フジテレビは土曜夜の映画番組の枠から撤退する気なのか不明だ。
高島忠夫は最近芸能界復帰を果たしたが
「プレミアムステージ」への解説復帰はまずないと思われる。

日本テレビ
「水曜ロードショー」(現「金曜ロードショー」)1972/4/5スタート。
解説は水野晴郎だが、放送開始から解説だったかは未確認。
83年に選挙に出馬するため一時降板。
愛川欽也や堀 貞一郎が代役を務める。
伝説の「スターウォーズ」初回放送時の解説は愛川欽也だった。
その時愛川欽也は解説で、渡辺 徹らの吹替を
「(字幕で見るよりは)良かった」とコメントしている。
「アクションが激しいから字幕を見てたら目がヒラメみたいになる」とも。
堀 貞一郎は「ルパン対複製人間」で
「今日は普段アニメをご覧にならない方のために登場人物の紹介をー」
とか解説していたのを見た記憶がある。
85年からは水野晴郎が解説に復帰。
金曜に移動した後も暫く続くが、1997/3/28をもって降板。
坂上みきが引き継ぐものの、顔出しなしのナレーションによる解説で
いわゆる昔からの洋画劇場スタイルの解説は終了したことになる。


総評
洋画劇場解説者最後の砦、木村奈保子もついに降板となり、
これでこのスタイルの解説者は全ていなくなった。
古くからの洋画劇場ファンとしては寂しいものがある。

確かに解説を入れるということは、
その分本編のカットが多くなってしまうことになるわけで、
解説が無い方が本編が長くなるから良い、とも言える。
現に日曜洋画劇場は淀川長治が他界してからは、
21時0分0秒から本編をスタートさせたり
エンディングスタッフロールを読めないほど速くしたりして
少しでも本編を長くしようとしていたようだ。

でもいきなり本編が始まって、終わってすぐ次回予告で終了
というのも味気ない気がする。せっかくテレビで放送するのだから
「こんばんは、○○です。」で始まって
「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。」または
「いやー映画って本当にいいもんですね。」もしくは
「あなたのハートには何が残りましたか?」
で終わって欲しいものだ。
映画を見終わったあと余韻に浸る間もできるし
解説でちょっとした撮影時の裏話とかしてもらえると
へえなるほど、と映画を見る楽しみが増えることもある。
現在はかろうじて金曜ロードショーがその形を残している。

まあ別に解説の復活を希望しているわけではない。
時代の流れと諦めてはいるが。


HOME