JAWS ジョーズ



1989/11/3 日本テレビ「金曜ロードショー」

ロイ・シャイダー:滝田裕介
リチャード・ドレイファス:樋浦 勉
ロバート・ショー:北村和夫

「ご機嫌いかがですか。水野晴郎です。」
スピルバーグ傑作選第3段として放送。
第1弾は魔宮の伝説。第2段は激突!徳光和夫版。

「君、名前は?」「クリシー。」
全てはここから始まる。最初の犠牲者クリシー・ワトキンス。
クリシーは23歳なのにちょっと声が老けてるか。

「泳ぎなら名人さ。でも歩けないし、服が脱げないの♥」
津嘉山版とか羽佐間版は既にこの辺のセリフが違う時点で
もう拒絶反応が起き始める。
私はジョーズは滝田版以外受け付けない体になっているのだ。

「どうして朝日が差し込むようになったのかな。」
「この家買ったのは秋なのに、今は夏だから。」
夏になると朝日が差し込む事を不動産屋は言わなかったのか。
悪徳不動産屋かよ。

「お前の字じゃ読めん。」
「海岸閉鎖 遊泳禁止 アミティ警察署」という立て札を作る。
ヘンドリックスは字が下手だからポリーに書かせろ。
私も字が下手で長年コンプレックスを抱いてきた身としては
このセリフは耳が痛い。
ただ、原語では「ヘンドリックスは字が下手」という意味はないようだ。

「指先を見せて。だめだめ紫色になってるじゃないの。」
指先が紫になったらもう泳いではいけません。
「お願いもうちょっとだけ。」「じゃあ後10分だけね。」
この10分が命取りでした。

「ほら掛けてやるー。そーれそれー。」
海で遊ぶ子供達の声。
これは吹替台本に書いてあるというよりも
アドリブというか、いわゆる「ガヤ」なのかな。
よく聞いてみるとこのセリフは2回使いまわしされている。

「みっともないよ、その帽子は!」
爺さんの水泳帽を一瞬サメのヒレと見間違えてしまった署長が
カナヅチである事を指摘されてつい悪態をつく。
この「その○○は」がずっと聞き取り不能だった。
DVDの字幕で帽子であることを初めて知った。

「ピペット!ピペットおいで!ピペット!」
行方不明の犬ピペット可哀想。
ただピペットがサメに喰われた証拠はない。
ちなみにDVDの字幕では犬の名前は「ペペ」。
スペルは「Pippit」。
確かに「ペペッ」と聞こえるけど、
この犬の名前は「ピペット」でなきゃだめだ。

「助けてー!わっ、わーっ…!」
2人目の犠牲者アレックス・M・キントナー少年。
水中で鮮明な悲鳴をあげる少年。まあご愛嬌。
原語ではちゃんとゴボゴボ言っている。
羽佐間版では原語音声を使用。

「みんな水から上がれー!早く出ろー!早く早く!」
そうでなくとも水が嫌いな署長。
皆に避難を促すも、自分は一歩たりとも水に入ろうとしない。
一瞬足元を見るのがおもろい。

「私が発言するのは皆さんの為よ。喋りたいからじゃないわ。」
アレックス・キントナーを殺したサメを退治した者に、
3000ドルの賞金だなんて、サメがいるかどうかもわからないのに。
こんな事されたら町中が迷惑しちゃうじゃないの。
まあよく喋るおばちゃんというのはどこにでもいるもので。

「サメ退治の賞金3000ドルは現金かね、小切手かね。」
空気を読めない奴。
「呆れたわね、こんな時に酷い冗談。」
いや全く。
愚にもつかない冗談を言う奴を
キントナー夫人に聞けと軽くあしらう市長。

「俺を知ってるな。何やって食ってるか、もだ。」
クイント登場。
「人喰いザメを見つけるだけなら3000ドルだって御の字よ。」
このワンシーンだけでクイントのキャラクターがよくわかる。
名翻訳、そして北村和夫の名演技。

「安心しなって。3000ドル持って帰りゃニコニコさ。」
女房に内緒で持ち出した肉でサメ釣りをする男性2人。
当時の3000ドルは現在の価値ではいくら位?
賞金目当てで全米から人が押し寄せるほどだから
確かに持って帰れば「女房」もニコニコだろうね。

「お世話さん!」
フーパー登場。
「お世話様」というお礼の言葉があることを当時ここで初めて知った。
親しみがあって良い言葉だ。

「そのまま真っ直ぐ歩きな!」「…海へドボンでしょ?」
ホテルへ行く道を聞いただけで海へ落とされそうになるフーパー。
フーパーは何も悪いことしてないのに。
このやりとりはおもろい。

「船の事故じゃなさそうだ。」
スクリューによる事故死とされたクリシーの遺体を見た
フーパーのセリフ。フーパーほどの人でも、
一目見ただけでサメの被害とわかるわけではないのか。
この時後ろにいる島の検死官(?)のバツが悪そうな表情が印象的。
つまりサメの被害であることは明らかなのに
船の事故ということにしてくれと市長に頼まれたわけだ。
「あーここでタバコは吸わないで下さい?」
とかいうツッコミもおもろい。

「サメに食われたんだ。」
「ボートの事故だなんてとんでもない。スクリューにやられたんでもない。
 珊瑚礁の仕業でもない。変質者にやられたんでもない。」
フーパーによる検死の結果、サメの被害と断定。
でも変質者説はどこから?

「何ザメだって?」
口の動きに比べてセリフが長い。
原語では「A what?」と言っている。
ちなみにこのサメはタイガーシャーク。日本ではイタチザメ。
劇場公開時の字幕ではそのまんま「虎鮫」と訳されていたらしい。
イタチザメとトラザメは別の種類だ。
これが誤訳であることは劇場公開時のプログラムに記載されている。

「君のせいじゃないさ。誤解だよ。」「…私のせいさ。」
キントナー夫人が現れるなり署長の頬をひっぱたく。
一瞬で静まり返る港。
アレックスが死んだのは、サメがいるのを知っていたのに
警告しなかったからだと署長を叱責するキントナー夫人。
責任を痛感する署長。
夫人と一緒にいるアレックスの父親らしき人が一切無言なのも印象的。
署長を責めてもどうしようもないことはわかってはいるが、
夫人の気の済むようにさせてやりたい、といったところか。

「手がついてないんでしょ?」
人んちの料理を勝手に食い始めるフーパー。唖然とするブロディ夫妻。
フーパーはたぶん独身?サメの研究ばかりしていて
家庭料理なんてのに縁がないのだろうね。
この辺もフーパーのキャラがよく出ている。

「ああそんなに注いじゃ…ぁいやいいんだ。どうぞ。」
なんだこのセリフは。
フーパーは結構なワイン通なのか。
ワインは少しずつグラスに注いで飲んだ方が美味い
というこだわりを持っているフーパーが、
コップに大量にそそぐ署長に思わず突っ込んでしまいすぐに取り消す。
フーパーの人柄がよく表れていて実におもろいセリフだ。
津嘉山版では確か「少し空気に晒した方が美味いですよ。」
とかそんなセリフ。そのまんまや。つまらん。
羽佐間版は「赤は開けて置いとかないと。ああ、もういい。」
つまんね。
滝田版はフーパーが「思わず突っ込んでしまった」感がよく出ている。

「できるとも。これでも署長だぞ?」
署長がフーパーとサメを解剖しに行く事になり、
奥さんに、そんなことできるのかと言われた署長のセリフ。
あんた見てるだけじゃん。

「僕個人か、一族でか?」
オーロラ号の上で、フーパーが金持ちだという話になり
署長に、どのくらい金持ちかと聞かれたフーパーのセリフ。
こんなセリフ一度言ってみたいものだな。

「ハッ、ハッ。」
オーロラ号から海に潜る直前のフーパーの深呼吸。
どうもこの部分だけ原語の声、つまり樋浦 勉の声ではなく
リチャード・ドレイファス本人の声が使われているように聞こえる。
俳優本人の声を使っているのはここだけだと思う。

「頼む、みんなで入ってくれ。」
サメが捕まったとはいえ、海水浴客は誰も海に入ろうとしない。
海へ入るようせがむ市長のセリフ。市長ひでー奴だ。
一人入ればみんな入りだす。みんなで入ってしまえば余裕。
という心理状態をこのシーンはうまく表現している。

「やほー!行こ!ちゃんと持った?うん。行こ行こ行こ!」
海へ泳ぎに行く少女2人のセリフ。
こんなちょっとしたセリフが、ちゃんと台本に書いてあるのか
それともアドリブ(ガヤ)なのか。
子供達の声は多分、当時の本物の子供が演ってるぽいが、
子供の吹替を本物の子供が演ると大抵ヘタクソなんだけど
全体的に子供の声は上手いというか自然だ。

「よいしょ、よいしょ。フー。」
ボートを運ぶマイクとその友達たちのセリフ。
これも、台本通りなのかアドリブなのか。
こんな細かいセリフをちゃんと吹き込んでいる。

「ありがとー!」
海岸で署長と奥さんが手を振って合図した後
奥さんが署長に対して言うセリフ。
何に対してありがとうと言ってるのか。
DVD字幕では「休憩よ」。原語は「I've got Sean.」。
口の動きが「ありがとう」な感じだから
口の動きに合わせたセリフにしたのか?

「オイ笛を吹くな!やめろー!」
厳重な監視体制の海水浴場にてサメ出現。
笛を吹く監視員への署長のセリフ。
なんで笛を吹いたらいけないのか、ずっと謎だった。
サメが笛の音に反応するからとか思ってたが、
羽佐間版によると、パニックになるから、らしい。

「サ、サメ。サメよ!ほら見てサメよ!入り江にサメが来てる!」
入り江にサメを見つけて叫ぶ女性。
この女性とサメと署長たちと入り江の位置関係がよくわからない。
署長に聞こえるほどの大声なら入り江の男性にも聞こえそうだが。
ちなみに羽佐間版では入り江ではなく「潮溜まり」という翻訳。
「潮溜まり」は誤訳だと思う。
辞書によると潮溜まりとは干潮時に岩礁の窪みにできた水溜まり。

「オイ早くやれよ!」「そう簡単にはいかないよ!」
「早くやれよ!」「早くー。」「うるさいなー!」
入り江のボートの上でマイクと友達とのやりとり。
これも本物の子供ぽい。実に自然だ。

「オイそこの!チビたち。どいてくれよ!邪魔じゃねぇか。」
「コラ!どかないつもりかよオイ!」
入り江でサメに喰われるボートの男性のセリフ。
入り江といっても結構広いし、そんな邪魔じゃないのに。
と、正直初めて見た時から思っていたのだが
この男性はほんとは「大丈夫か、手伝おうか。」と言っている。
「いい人」がサメに喰われるのは可哀想だ、
という当時の日本語版スタッフの配慮(?)により
勝手に「やな奴」に仕立て上げられてしまっている。
お陰で私はずっとこのボードの男性は「やな奴」だと思い込んでいて
DVDで見たら「いい人」だったので仰天した。
この翻訳は今なら完全に「アウト」だろうね。
こういう事が比較的自由な時代だったからこそ出来た芸当。
羽佐間版ではさすがに「いい人」でした。

「アイスクリームは何がいい?」「イチゴ。」
サメに襲われたショックで入院するマイクが食べたいアイスはイチゴ?
これほんとはイチゴでなくコーヒーが正しい。
アメリカの子供はコーヒーアイスを好んで食べるのか。
イチゴの方が子供らしくていい、というこれまた
当時の日本語版スタッフの配慮(?)による脚色。
まあ映画観賞中に、子供のくせにコーヒーアイスなんか食うのか、と
ストーリーと関係ない所に気を取られるよりも、イチゴにしといた方が
すんなり聞き流せて映画に集中できる、と言えなくもない。
日本人には理解し難い外国の文化を、忠実に訳すべきか
それとも日本人に理解しやすいようにアレンジした方がいいかは
ケースバイケースで、どちらがいいとは一概には言えない。
あるいはマイクも普段はコーヒーアイスなんか食べさせてもらえないのに
こういう時はオカンが妙に優しいので
普段食べられないコーヒーアイスを要求した、とも考えられるけど。
尚羽佐間版では「コーヒー」でした。

「私の子供も海へ行かせてるんだよ。」
もうサメ退治のプロを雇うしか手がなくなったにも関わらず
最後までサインすることに難色を示す市長のセリフ。
このセリフも意味がわからん。子供がいるんなら
なおさらとっととサインした方がいいような気がするが。
誤訳かとも思っていたが、DVD字幕でもほぼ同じ意味。
羽佐間版では「うちの子も今日ビーチにいた。」

「サメのしょんべんが入ってるかも知れねえぞ?」
クイントに自家製の酒を勧められる署長。
口に含んだだけで吐き出してしまうが、単純に不味かったのか。
それともサメの小便とか言われて気持ち悪くなったのか。
私はずっと後者だと思っていたけど、今見ると前者っぽい。

「近頃の若い男にはロクなのがいやがらねえ。」
クイントのセリフ。
「近頃の若いもんは」というセリフは頑固親父のお約束のセリフだが
その頑固親父も若い頃は、その当時のオヤジに
「近頃の若いもんは」と言われていたわけで
そして、現在の「近頃の若いもん」も、歳を取れば
「近頃の若いもんは」と言うようになる。

「ほれ縮め結びやってみな。」
フーパーをテストするクイント。
こう見えて実は私も昔は結構アウトドア派で、
キャンプとかで○○結びとかいろいろやってた。
縮め結びは好きな結び方なんだけど、実際に使った事はない。
よく見ると結ぶ時一瞬間違えるフーパー。

「私も一緒に乗るんだよ。それならいいだろう?」
サメ退治にフーパーを同行させるためクイントを説得する署長。
普通に考えたら署長が同行しても足手まといになるだけだ。
3人で行かないと映画にならんけど。

「♪おいら〜は行く行く海の底。サメに喰われ〜てバーイバーイ。」
クイントの歌。
こんな歌あんのか。

「潜望鏡上げよ〜。魚雷発射よ〜い。」
「右45度敵巡洋艦〜。ハッハッハ。」
このセリフ1000回くらい聞いた。
いよいよサメ退治に出発。わくわくしながら見たもんです。
命懸けのサメ退治に行くのに、
BGMがちょっとコミカルな感じなのもまたいい。
羽佐間版ではBGMが差し替えられてる。なんで。

「そんなに落ち込みなさんな帰って来りゃサービス満点だぜ。」
「どうしたぃ。もう女房が恋しいのかよ署長。」
港から出る船の上で名残惜しそうに陸を見つめる署長。
帰ってくれば女房がサービス満点?
当時この意味がよくわかっておりませんでした。子供でしたから。

「署長さんよ、今度からパンツのヒモ引っ張る時も相談してや。」
圧搾空気ボンベを縛っているヒモを引っ張って倒してしまい
フーパーに怒られた署長に対してクイントのセリフ。
おもろいセリフだ。
津嘉山版では確か「ヒモを引く時は俺に相談しな。」とかそんなん。
そのまんまや。つまらん。
津嘉山版内海クイントはカタブツのサメ狩り職人といった感じだが
北村クイントはこういうユーモアのセンスというか
ちょっとコミカルなキャラなのが特徴的。
羽佐間版では「なあ署長。今度からどの柵を解くか、俺に聞けよ?」

「穴からウナギが首を出す。そしたらねじ上げて…」
そう私もこうやってロープの結び方を覚えた。
「穴からウナギが」って。もう忘れたけど。

「サメじゃねえ?マグロやメカジキがピアノ線を食いちぎるかよ!」
釣り針に掛かった謎の魚。フーパーはサメじゃないと主張。
しかし魚はピアノ線を食いちぎって逃亡。
結局これはサメだったのか別のものだったのかは謎のまま。
見えない恐怖、正体がわからない方が怖い。

「頭から血が出てる。薬つけとけ。」
頭をぶつけてケガをした署長へ、クイントが珍しく優しい言葉を吐く。
鬼のクイントにもこんな一面があるのか。
署長は「素人」だから少しは気を使っているのかな。

「お前なんかとツラつき合わせてるよりサメの方がマシだよ。」
と言った直後に目の前にサメ登場。
これはかなり意訳で、原語では「交代しろ」という意味だと思う。
でもおもろいから良い。
DVDの字幕では「結構な身分だ 来て交代しろ。」
羽佐間版では「なんなら代わってやるから、君がこっちで餌まけ。」

「この船じゃ小さすぎる…。」
現れたサメのあまりの巨大さに署長がこぼしたセリフ。
原語を直訳すると「もっと大きい船が要る」になるが
どっちがいいと思いますか。
これは間違いなく名翻訳ですな。
奇しくも羽佐間版も全く同じセリフ。

「7メートルはある!」「9メートルだ。重さは3000キロ。」
でかすぎ。
フィートをメートルに換算する際に、端数を繰り上げすぎです。
25フィートだから7.62メートルが正しい。
サメをよりデカく見せようと、当時の日本語版スタッフの配慮(?)による
これまた誤訳スレスレの捏造翻訳。
尚このシーン、前後のシーンでは署長はタバコをくわえているが
アップのシーンではくわえていない。
要するに編集のミスなんだけど、4:3のテレビサイズでは
アップのシーンで署長の顔は枠の外なので気づかない。
DVDで初めて気づいた。
ちなみに確か津嘉山版では「7メートル50」となってた記憶が。
羽佐間版では「6メートル級だ。」「8メートル。3トンある。」
控えめな繰り上げで、まあ妥当だ。

「何してるんだ!もっと前へ出るんだよ!」
「前ってどこまで!」「その樽の向こうまでさ。2、3歩出りゃいいんだから。」
「さあもう少し!」「え!?」「もっと前!」
「なんで!」「いいから早く!」
「なんのためだ!」「大丈夫だから一番先まで行って!」
「なんで!」「ほら写真撮るのに困るんだよ!」
「どうしてなんだ!」「比較する物がないと、大きさがわからないだろ!」
「ふざけるなこいつ!」
サメの写真を撮ろうとするフーパーと署長の
この一連のやりとりがこの映画で一番面白いシーンです。
最近のテレビ放送ではここをカットするという信じられん暴挙。

「今夜のおかずはフライにするんだな。」
サメ退治で忙しい時に署長夫人から無線が入る。
明らかにイラついて軽くあしらうクイント。
今夜のおかずはフライって、関係ないじゃん。
こういうセリフがクイントのキャラクターをよく表現している。

「俺の手見てりゃわかるよ。」
船の操縦はした事がないという署長に対してクイントのセリフ。
いや、手を見ててもわからんと思うが。
まあつまり「いいからやってみろ」ということなんだろうけど。
この言い方で一蹴してしまうのがクイントらしいといったところか。

「うるっさいな全く!」
クイントに早く樽を繋げとせかされてフーパーが言ったセリフ。
このセリフを私は今でも日常生活で使うことがある。
ところでフーパーは樽に発信機(?)のようなものをつけるけど
結局この発信機は全く役に立たなかったようだが。

「見てくれ。メジロザメだ。いきなり噛めついたんだぜぇ。」
フーパーが噛み傷跡を見せるシーン。「噛めついた」と聞こえます。

「ハートを破られたのさ。メアリーって女に。」
サメの噛み傷を見せ合ってる時に、もう一つすごいのがある、
メアリーって女にハートを破られた。って実におもろい。
このギャグは実生活で使った事がある。
DVD字幕だと「深いぞ エレンの傷… 失恋さ」。
確かに原語だと「Broken my heart(失恋)」がオチだけど、ここは
「メアリーって女に」をオチに持ってきた方が、ギャグとして面白い。
樋浦 勉の言い方もいい。

「言わないで!当ててみせよう。『母ちゃん』だろ。」
クイントの腕の傷はイレズミを消した跡。何のイレズミか。
それは「母ちゃん」のイレズミ?
フーパーウケすぎ。
このギャグも実生活で使った事がある。
腕にインクがついてしまい、側にいた人に
「イレズミですか?」と(冗談で)突っ込まれたので、
「そう、母ちゃんのイレズミです。」と。
当然のごとくスルーされた。

「あいつは死人の目よ。真っ黒で、人形みてぇでな。」
そうサメの目は怖い。真っ黒で人形のよう。まさにその通り。
ラストの方でサメが船の中に突っ込んでくるところで
目がアップになるシーンがある。

「わかるか?一番ブルッたのはその時さ。」
インディアナポリス号が撃沈されて、1000頭ものサメに囲まれながら
救命胴衣で海上を漂い5日間救助を待つ。
救助ヘリが現れて、順番待ちの時が一番怖かったと語るクイント。
絶体絶命の窮地に立たされ、本気で死を覚悟した時は
意外と冷静で恐怖心は感じないものだ。
でも「助かるかも知れない」と希望が見えた時、
途端に死の恐怖に襲われることになる。

「救命胴着だけは二度と着たくねえよ。」
インディアナポリス号の悲劇を体験したクイント。
あんな思いをするならいっそ溺れ死んだ方がマシだ。
この後船が沈没寸前になった時、フーパーと署長は
クイントに救命胴衣を渡されるが、二人とも着ようとしない。

「♪ボンボンボンいつも歌うはこの歌さ。」
船の中で酒飲んで酔っ払って歌いだす3人。
いっつも歌うはこの歌さー!
原語だと別の曲のようだが。
この直後サメが現れるが、一番気づくのが遅いのが署長。

「ライトを喰われちまった。」
このセリフもよく聞き取れなくて、
長年「ライトを壊れちまった」だと思っていた。
ライト「を」壊れたって?
サメの襲撃で電気系統がやられて明かりが消えてしまい
「サメがライトを食った」というフーパーのジョークだったのね。
羽佐間版見てて今ごろ初めて知った。恥。

「クイント何してる。そんな事したって時間のムダだやめろよ。」
ライフルでサメを撃つクイント。
やはりサメに銃は効かないもんなのかね。
致命傷にはならなくてもある程度のダメージは与えられそうだけど。

「♪お〜んな、お〜んな〜ぁ、女〜。俺の好き〜な〜。」
クイントの歌。なんつー歌だこれ。どーゆう歌ですか。
吹替台本にこう書いてあるのか。
それとも北村和夫のアドリブなのか。
羽佐間版では歌なし。

「死ぬなら一人で死ね!!巻き添えはごめんだ!!」
無線で応援を呼ぶ署長。クイントが無線機を叩き壊してしまう。
署長のキレっぷりがすごい。滝田裕介声が裏返ってます。

「俺の手を見ろ!俺の手の通り舵を切れ!右だ右!」
フーパーに指示を出すクイント。
いやー口で指示した方が早いんでないか。
結局うまく伝わらないので手で指示を出すのはすぐに止めたようだ。

「なんて速さだ。」
逃げるサメを船で追いかける。
そのあまりの速さにフーパーがこぼしたセリフ。
この追いかけっこのシーンで、フーパーはおろか
さっきまで怯えていた署長まで笑みを浮かべるのが印象的。
ここはBGMもノリノリだし、署長の気持ちもわかる気がする。

「驚いたなぁ。樽を2つもつけたまま潜るぞ。」
サメに詳しいフーパーも驚く。
しかしサメはこの後、樽を3つつけたまま潜るという離れ業を見せる。

「岸へ向かうぜ署長!」「ああ、それがいい。」
浅瀬へ引っ張り込んでケリをつける。物語はクライマックスへ。
岸へ向かうことでホッとする署長。
この「ああ、それがいい。」のセリフは聞き覚えが無い。
ここはCM前だから、以前うちで録画した時に
CMを切るのに一緒に切れてしまったのかも。
昔のビデオデッキはそんなに性能が良くなかったから。

「こんなに執念深いものなのか。」「いや。」
署長の素朴な疑問にサメ専門家フーパーが即答。
これはあくまで映画=作り話=エンターテイメントであって
本物のサメはこんなではない、とさりげなくフォロー。

「他に手立てがあるんなら教えてくれ!!」
エンジンも壊れていよいよ最後の手段、
オリに入ってサメの口へ毒針を刺すしかもう手がなくなった。
津嘉山版では確かこのセリフ敬語だったような。
忠実に訳せば敬語が正しいのかも知らんけど
ここは敬語では緊迫感をそぐ。
しかしこの毒薬も役に立たず。
結局フーパーの持ち込んだ機材で役に立ったのはボンベだけか?

「ツバキも出ないよ。」
オリの中に入るフーパー。
水中眼鏡の曇り止めのための唾も出ない。
まさに極限状態。
唾も出ないほどの緊張とはどれほどのものだろうか。

「…!」
オリの中でサメに襲われ悲鳴を上げるフーパー。
水の中なので声は出ていないが、この音、泡、顔のアップ。
怖いですね。そして上手いですね。さすがスピルバーグ。
ちなみにこのアップの顔は、リチャード・ドレイファスが撮影現場に
来られなかったため別の人らしい。
確かにちょっと顔が違うようなとは思っていたけど。

「折れるぞ署長!」
オリを吊り下げているロープにサメが絡まって
重みで竿(?)が折れて壊れてしまう。
このオリを吊り下げている物の構造がよくわからない。
リングが壊れて外れて何が折れた?
ちなみにサメが絡まるシーンをよく見ると
さっきボコボコに壊されたはずのオリが新品同様に戻ってる。
まあ気にすんなそんなこと。
ちなみにこれは本物のサメを撮影している時に偶然撮れた映像で
せっかくいい画が撮れたので本編で採用したらしい。
だからオリが壊れていないのである。
観客はそこまで気づかないだろうと割り切って
あっさり採用する所がスピルバーグか。
原作ではここでフーパーはサメに食われて死ぬが
このお陰でフーパーは生還することになった。
しかしフーパーが死んでたら後味の悪い映画になってしまうので
結果的にこれで良かったのだね。

「よーし上がってきた。ゆっくり、ゆっくり。ゆっくり。そうだ。」
オリを引き上げる時の署長のセリフだが、
この最後の「そうだ」を言うのがちょっと遅いか。
既にオリがほとんど水の上で、オリの中が空であることが確認でき
つまりフーパーは死んだということで、
署長が落胆の表情に変わった後で「そうだ」となってしまっている。
以前から気になっていたが、今見ても確かに遅いね。
もっとも原語でもちょっと遅いけど。
羽佐間版では「そうだ」は無し。

「離すなよー!」
サメが船に乗り上げ大きく傾き転倒する署長とクイント。
クイントの腕を掴んだ署長のセリフ。
ここは原語ではセリフが無いようだ。字幕も無し。
日本語版で勝手にセリフが追加されるケースもある。
例えば山寺版の「マッドマックス2」。あれはちょっとやりすぎだが。

「おおーう。」
クイントの断末魔。
実際にサメに呑まれる時はこんなんじゃ済まないだろうが。
クイントの悲鳴はちゃんと北村和夫が吹替している。
津嘉山版は覚えていないが、羽佐間版では原語の声を使用。
これだけ大規模な悲鳴を吹替するのもなかなか大変だ。
でもここだけ原語に戻るのもちょっと不自然になる。

「くたばれ化け物!」
原語では「Smile,you son of a--」。
忠実に訳すなら「笑え畜生」か。
DVD字幕では「死ね 化け物」。
劇場公開時の字幕は「笑え畜生」だったらしい。
羽佐間版では「笑いやがれ!笑ってみろこの化け物!」
とやや強引に「笑え」を再現。
オリジナルが「笑え」だと知ってる人はいいけど、
初めて見る人は、なんでここで「笑え」なんだ?と思うだろうね。
でもまあこれはこれで。

「今日、何曜日だ。」「水曜日、いや…きっと火曜日だ。」
曜日の感覚がわからなくなっている。
結局何日くらい海にいたんでしょうか。
なんかほのぼのとしてエンディングに相応しい良いセリフだ。

「海も悪くないな。あんなに嫌ってたけど。」
おしまい。
署長の水嫌いまで克服。ショック療法ってやつか。

「いやー映画って、ほんっとに、面白いもんですね。」
まったくその通りで。


END


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